数学がわかるということ〜数学のあらさについて〜
柿の実 西谷得宝
せどの柿の木に柿が十五なっていたげな
そこへ雀が八羽、椋鳥が五羽飛んできてあったげな
それでみんなで二十八になったげな
どうじゃ仏法とは、およそ
こんなもんじゃげな
この詩は、数学のもつ、ものの見方の粗さと
几帳面さの両方の性格を、よく表している。
遠くで見れば「もの」が28個
近く寄れば、柿が15、スズメが8羽、ムクドリ5羽
ここでは足し算する気になれない。
でも、27個でも29個でもなく 28個になる
「数学がわかるということ」(山口昌哉)
「数」を「数える」
猫を数える。同じ猫はいない、でも「猫」はたくさんいる
別々の生き物を「猫」として数える。猫という共通点
猫3匹に犬5匹、全部で何匹 「8匹」「わかんない」
「8匹」は、区別していたものを同じに見ることができる子
「わかんない」は、同じに見れない子
「全部で」は「同じに見ると」、「生き物は」
区別していたものを同じに見る「見方」を身に付けることに
はじめてであうすうがくの絵本〜なかまはずれ〜
絵本の最初に出てくる話です。これが、素晴らしい。。
ここでは、言葉で伝えていきます。
各ページの中から、なかまはずれを見つけていくものです。
□と○、1つだけ違うてんとう虫。
これが、数学的概念の形成に他ならない。
いくつもの対象を抽象化して、違いよりも共通点により目が向く。
ページが進むにつれて、見た目の違いだけで分けて行けなくなる。
一つ一つの絵の意味やページの中の関係を考えないと考慮しない、決められない。
これは、巻末の解説にも出ている「何を持って1とするか」
ということにつながります。
集められたものの中から、その共通点を探し出す
どんなことで、仲間はずれにするか、
子どもと話していると、「知っていること」「理解」というものが見えてくる。
数学を学習する?
中学校の数学教師になり、二十数年生徒の数学学習のつまずきに悩む!
大学時代のゼミで読んだ『数学学習の心理学』 (R.R.スケンプ)
子どもが生まれて書店で出会った『はじめであうすうがくの絵本』(安野光雅)
どちらも、素晴らしい本でした。
それから、十数年後『数学がわかるということ』(山口昌哉)に出てくる
数学が分かるということ 食うものと食われるものの数学 (ちくま学芸文庫)
- 作者: 山口昌哉
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2010/08/09
- メディア: 文庫
- 購入: 9人 クリック: 39回
- この商品を含むブログ (11件) を見る
ポアンカレのことば
「数学とは、異なったものを同じものとみなす技術である」に衝撃を受けて
『数学学習の心理学』と『はじめであうすうがくの絵本』が見事に繋がりました。
絵本を一つ一つスケンプで読み解き、数式のない数学の姿を身近に考えていく。